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「学校事務のあるあるって何?」——学校事務という仕事は、外から見るとなかなか実態がわかりません。しかし実際に働いてみると、一般企業では絶対に経験しない「学校ならでは」のエピソードが次々と飛び出してきます。
私はSE歴10年以上から30代で私立学校事務に転職しました。IT企業と学校という対極ともいえる職場を両方経験したからこそ、「これが学校事務のあるあるか……!」と強烈に感じた瞬間がたくさんありました。また、転職後に同業者と話すと「わかる!」の連発で盛り上がるエピソードも枚挙にいとまがありません。
この記事では、学校事務のあるあるを25個、笑いあり共感ありでお届けします。現役の学校事務・事務職の方はもちろん、転職を検討中の方にも「こんな職場なんだ」と伝わる内容です。




🍊 先生文化との遭遇あるある
学校事務で最初に驚くのが「先生文化」との遭遇です。先生方は素晴らしい職業ですが、事務的な感覚とは少し違う世界で生きています。
何度も案内を出し、リマインドのお便りも配り、口頭でも伝えた。それでも締め切り当日の夕方に「今日までですよね?今持ってきました」と現れる先生。「ギリギリセーフ!」という満足げな表情とともに。こちらは午前中から集計を始めていたので、データを全部入れ直す羽目になる。
「急ぎ」の定義が人によって全く違う。先生にとっての「急ぎ」は「今週中」で、事務職員にとっての「急ぎ」は「今日中」。この認識の差を埋めるには「いつまでに必要ですか?」と毎回確認するしかない。入職1ヶ月で必須スキルとして身についた。
「この前」が1週間前なのか1ヶ月前なのかもわからない。「あれ」が何を指すのかも不明。しかし先生の頭の中では完全に具体的なイメージがある。「もう少し詳しく教えていただけますか?」と冷静に聞き返す技術が、学校事務職員の必須スキルになる。
30部・両面印刷・ホチキス留め。その量を「30分後」に要求できる精神的強さは、授業でざわつくクラスを一瞬で静かにする力と同じ種類のものかもしれない。印刷機と格闘しながら「これが学校事務か……」と悟りを開く瞬間のひとつ。
悪意はない。ただ純粋に知らないだけ。給与計算・社会保険手続き・予算管理・施設管理・HP更新・証明書発行・入試対応……と説明すると「そんなに!?」と本気で驚かれる。陰で支えているからこそ、目に見えない仕事なのだと実感する瞬間。
💻 IT格差・デジタルあるある
SE出身者として最も衝撃を受けたのが、学校現場のIT事情です。良い意味でも悪い意味でも、企業とは別世界が広がっています。
SUM関数を使っただけで「魔法みたい!」と言われた日のことは忘れられない。VLOOKUPを使ったら「どうやったんですか!?」と人だかりができた。SE時代には当たり前すぎて褒められたことがなかったスキルが、学校では希少スキルになる。転職してから一番自己肯定感が上がった部分かもしれない。
「FAXって今も使うんですか?」と転職前に聞いたら「毎日使ってます」と即答された。入職後、確かに毎日FAXが届く。業者からの見積もり、行政からのお知らせ、保護者からの欠席連絡……。「このFAX用紙の感熱紙、どこで補充するんですか?」が入職1週間目の質問になるとは思っていなかった。
「メールに添付して送っていただければ」と言うと「印刷して持っていきます」と返ってくる。紙を受け取って、また自分でデータ化する。デジタル化しようとするたびに紙に戻される、このループを「学校事務のデジタル・サイクル」と呼んでいる(自分だけで)。
SE時代はGitでバージョン管理していたので、ファイル名にバージョンを書く文化に驚いた。しかも「最終版」の後に「最終版(修正)」「最終版(確定)」「最終版(先生確認済)」と続いていくのを見て、そっとフォルダの日付ソートを教えてあげたくなる。
事務室の棚がキングファイルで埋め尽くされている光景は、入職初日に「ここは紙の聖地か」と思った。しかも何十年分も保管されており、20年前の書類が現役で参照されることがある。「電子化しましょう」と言うと「でも紙のほうが確実だから」と返ってくる。この宗教論争には慎重に参加するべきだと学んだ。
🔴 繁忙期・修羅場あるある
学校事務の繁忙期(3〜4月)は、経験した人にしかわからない独特の空気があります。
卒業式・年度末決算・退職者の手続き・新入生の受け入れ・新年度の予算開始・人事異動・健康診断の準備——これが全部同時に来る。「何から手をつければいいんだ」と思った瞬間に次のタスクが飛び込んでくる。SE時代の大炎上プロジェクトに似た感覚があるが、終わりが見えているという点で精神的には圧倒的にマシ。
1年に1回しかやらない業務は、毎年「去年どうしたっけ」から始まる。前任者が残してくれたメモを必死に解読する作業が発生する。そして自分もその年のうちに「来年の自分へのメモ」を書き残すのだが、来年の自分は「これ、何を書いてるの……?」となる。
何週間もかけて丁寧に書類を確認し、完璧だと思っていた入学手続きのセット。入学式の前日に「すみません、1枚出し忘れていました」という連絡が来る。この瞬間の心の動きを5秒で制御できるようになったら、学校事務として一人前だと思っている。
3〜4月の激務を乗り越えた後の8月は、別世界のような静けさ。電話もほとんど鳴らない、来客もない、書類も少ない。最初は「これでいいのか?」と不安になったが、これが学校事務の正常な閑散期だと気づくのに1ヶ月かかった。今では8月を全力で楽しむ技術を磨いている。
📋 日常業務あるある
繁忙期だけでなく、日常の業務にも「学校ならでは」のエピソードが転がっています。
「在学証明書1枚ください」という依頼は一見シンプルに見えて、学籍確認・様式確認・記名・押印・手数料処理・発行記録の記入……と意外に手順が多い。しかもこれを授業の合間の5分で来た生徒に対応しながらこなす。「事務ってラクそう」と思っている人に一度見てほしい。
学校には担任の先生が何十人もいる。「担任の先生」は絞り込みになっていない。「お子さんのお名前を教えていただけますか?」という質問を1日に何度繰り返すかわからない。でも電話対応のたびに「人の役に立てている」感があり、嫌いではない。
SE時代は席でパンを食べながらSlackを見ていたので、「昼休みにデスクから離れて何も考えずに食べる」という体験が転職後にできるようになった。学食で出てくる450円の日替わり定食を食べながら「これが人間の昼ごはんか」と思った日は今でも覚えている。
SE時代は定時に帰ることに罪悪感があり「お先に失礼します……」と小声で言っていた。学校事務に転職してから、定時退勤が当たり前の文化があることに気づき、堂々と「お疲れ様でした!」と言えるようになった。この変化は想像以上に精神的に大きかった。
「コピー機の紙がなくなりました」「体育館の鍵はどこですか」「この薬どこに保管すればいいですか」「Wi-Fiが繋がりません」「廊下の電球が切れています」——これが全部事務室に来る。「私、そこまで担当……?」と思う依頼もあるが、対応しているうちに「学校の何でも屋」というアイデンティティが育ってきた。
学校にいる大人は全員「先生」だと思っている生徒に「事務の先生」と呼ばれる。正確には事務職員で教員免許はないのだが、「先生じゃないです」と言うべきか毎回迷う。結局「はい、何ですか?」と答えるのが正解だと悟るのに半年かかった。
💜 SE→学校事務ならではのあるある
最後に、SE出身者として学校事務に転職したからこそ感じた「両方知ってるからわかる」あるあるをお届けします。
「前の職場ではこうやってました」という言葉は、善意で言っても「うちのやり方を否定している」と受け取られることがある。特に長年の慣習がある学校では要注意。改善を提案するときは「こういう方法もありますが、どう思われますか?」と相手に判断を委ねる形にすることを学んだ。
「この書類の納期はいつですか?」と聞いたら怪訝な顔をされた。「提出期限」が正しい言い方だった。「デプロイ」「スプリント」「プルリク」はもちろん通じない。SE語から事務語への翻訳辞書が頭の中に必要になる。
「Excelできます?」「パソコン詳しいですか?」「HPの更新わかりますか?」と期待の目を向けてくる先生がいる一方、「難しいことを言い出さないか」と少し身構える先生もいる。入職後しばらくは「頼りになる人」と「怖い人」の両方に見られていた気がする。
16時半になって「もう帰っていいの?」と思う日々がしばらく続いた。「何か忘れているんじゃないか」「緊急の連絡が来るんじゃないか」とソワソワしながら帰宅する。SE時代に染み付いた「仕事は終わらないもの」という感覚を上書きするのに3ヶ月かかった。
FAXも、キングファイルも、締め切りを守らない先生も、「この前のあれ」も——最初は驚いたり戸惑ったりしたことが、今では全部「学校事務の味」になっている。給与は下がったが、昼ごはんをゆっくり食べられて、定時に帰れて、8月は旅行に行けて、体の痛みも減った。「人生の豊かさ」という軸で測ったら、転職前より確実に豊かになっている。
まとめ:学校事務は「ネタの宝庫」な職場です
学校事務のあるある25選、いかがでしたか?先生文化・IT格差・繁忙期・日常業務・SE転職組と、角度を変えると次々と「わかる!」が出てくるのが学校事務という仕事の面白さです。
一方で、これらのあるあるを「大変だ」と感じるか「面白い」と感じるかで、学校事務の向き不向きが決まる気がします。「先生が書類を出してくれない」を笑えるなら、きっと学校事務に向いています。








