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「学校事務の給料って、実際のところどうなの?」——この疑問に、現役の学校事務職員として正直に答えます。
ネットで「学校事務 給料」と検索すると、統計データの数字か転職サイトの情報ばかりが出てきます。しかし「実際に転職して、手取りでいくら変わったか」「年収の数字以外に何が得られたか」という当事者の声はほとんどありません。
私はSIerでSEとして10年以上働いたのち、30代で学校事務職員に転職しました。SE時代と比べると年収は下がりました。それでも転職を後悔していません。この記事では、学校事務の給料のリアルを、現役職員の視点から本音でお伝えします。




学校事務の給料|公的データで見る水準
まず客観的なデータを確認します。厚生労働省の令和6年度賃金構造基本統計調査によると、学校事務の平均年収は44.5歳で530万円前後とされています。ただしこの数字には公立・私立・大学・小中高など様々な形態が混在しており、実態とのズレが大きい点に注意が必要です。
より実態に近い数字として、求人情報ベースの集計では正規職員の年収は295〜712万円と幅が広く、ボリュームゾーンは347〜399万円とされています。特に私立学校は学校ごとの給与規定によって大きく異なるため、「学校事務の給料」を一言で語ることは難しいのが実情です。
では公的データではなく、現職の学校事務職員として感じるリアルな給料事情をお伝えします。
学校事務の給料リアル①|年収の数字は「安い」が正直なところ


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正直に言うと、学校事務の給料は年収の数字だけで見れば「高くない」です。特にIT・金融・メーカーなど給与水準の高い業界から転職する場合、年収ダウンはほぼ確実に起きます。私自身もSE時代と比べて年収は下がりました。
学校事務の給料水準を大まかに整理すると以下のようになります。なお、これはあくまでも目安であり、学校の規模・地域・雇用形態によって大きく異なります。
| 年代 | 目安年収(正規職員) | 備考 |
|---|---|---|
| 20代 | 250〜350万円 | 初任給は月18〜22万円程度が相場 |
| 30代 | 350〜500万円 | 勤続年数・役職によって差が出始める |
| 40代 | 450〜650万円 | 主任・係長クラスで上振れする |
| 50代以上 | 550〜800万円 | 事務長クラスは800万円超も |
これを見ると「思ったより低くない」と感じる方もいるかもしれません。ただし注意点があります。上記の数字は正規職員・長期勤続の場合であり、非正規・パート・派遣の場合は大幅に低くなります。また、私立学校は学校ごとの差が非常に大きく、経営規模の小さい学校では300万円台にとどまるケースもあります。
学校事務への転職を検討する際、給与水準は「学校ごとに確認する」のが鉄則です。同じ「学校事務」でも、大規模な私立大学と小規模な私立高校では年収に倍以上の差が出ることもあります。求人票の基本給・賞与・昇給制度・退職金の有無を必ず確認してください。
学校事務の給料リアル②|「給料以外の待遇」を含めると話が変わる
学校事務の給料を語るうえで、年収の数字だけを見ると見誤ります。「給料以外の待遇」を含めたトータルの比較が重要です。現職として実感している「見えない待遇」を正直にお伝えします。
- 残業代がほぼ発生しない=残業がほぼない ─ SE時代は月30〜40時間の残業が当たり前でした。学校事務に転職後はほぼ定時退社です。「残業代で年収を積み上げる必要がない」という働き方に変わりました。
- 私学共済(私立学校の場合)が充実している ─ 私立学校に勤務する場合、「私学共済」という独自の社会保険制度に加入します。スポーツ施設・宿泊施設の割引、各種貸付制度、一般の厚生年金に上乗せする退職年金など、年収の数字には表れない手厚い福利厚生があります。
- 退職金制度がしっかりしている ─ 学校事務は長期勤続が前提の職場が多く、退職金制度が整備されていることが多いです。民間のIT企業と比べると、長期的な生涯年収ベースで見た差は縮まることがあります。
- 年間休日が多い ─ 学校の長期休暇(夏休み・冬休み・春休み)と連動した休暇が取りやすい環境です。「時間の豊かさ」も報酬のひとつと考えると、年収の数字では見えない価値があります。
- 雇用が安定している ─ 景気や業績に左右されにくく、リストラリスクが低い。特に私学共済に加入できる私立学校の正規職員は、雇用の安定性という面で大きなアドバンテージがあります。
学校事務の給料リアル③|SE時代との比較で感じること
SE時代と現在の学校事務を、給料の観点でリアルに比較します。
| 比較項目 | SIer時代(SE) | 学校事務(現在) |
|---|---|---|
| 年収(額面) | 高め | 低め(SE時代より下がった) |
| 手取り月収 | 高め(残業代込み) | 低め(残業代なし) |
| 残業時間 | 月30〜40時間(繁忙期はそれ以上) | ほぼゼロ(繁忙期は多少あり) |
| 年間休日 | 120日前後 | 多め(長期休暇期間も休める) |
| 退職金 | 会社による | 制度として整備されている |
| 社会保険 | 厚生年金 | 私学共済(上乗せあり) |
| 雇用安定性 | 景気・業績次第 | 高い |
| 精神的負荷 | 大きい(納期・障害・顧客対応) | 小さい(繁忙期を除く) |
この表を見てわかるとおり、年収の数字だけを比べると学校事務は下がります。しかし残業・退職金・社会保険・雇用安定性・精神的負荷まで含めると、単純な「年収が高い=豊か」という図式は成り立たなくなります。
私が転職後に気づいたのは、SE時代の高い年収の一部は「残業代」と「精神的消耗への対価」だったということです。それらがなくなった分、年収は下がりましたが、生活の質という意味では明らかに豊かになりました。






学校事務の給料リアル④|昇給・ボーナスの実態
学校事務の昇給・ボーナスについても正直にお伝えします。
昇給について
学校事務の昇給は、基本的に年功序列型です。成果主義・実力主義ではなく、勤続年数と役職に応じて着実に上がっていきます。「頑張れば来年から給料が倍になる」という世界ではありませんが、逆に「業績が悪くて給料が下がる」こともありません。予測可能な昇給は、長期的な生活設計を立てやすいという大きなメリットです。
ボーナス(賞与)について
私立学校のボーナスは学校ごとに異なりますが、一般的には年2回・合計3〜5ヶ月分が目安とされています。経営状態の良い学校では5〜6ヶ月分支給されるケースもあります。一方で経営状態の悪い学校では2ヶ月を下回ることもあるため、転職前に確認が必要です。
学校事務の給料に満足できる人・できない人
学校事務の給料に満足できるかどうかは、何を重視するかによって変わります。転職を検討している方の参考になるよう、整理します。
✅ 給料に満足しやすい人
- 年収より「安定性・雇用保障」を重視する
- 残業なし・休日重視のライフスタイルを望む
- 長期勤続で着実に年収を積み上げたい
- 退職金・社会保険の手厚さを評価できる
- 給料以外のやりがい(教育現場への貢献など)がある
❌ 給料に不満を感じやすい人
- 成果次第で大きく稼ぎたい
- 30代・40代で年収1,000万円を目指したい
- 副業・スキルアップで収入を増やす意欲が高い
- 年収が生活水準・自己評価の軸になっている
- 転職前の年収が高く、ダウンのギャップが大きい
私自身はSE時代に比べて年収が下がりましたが、「給料以外の豊かさ」を重視する価値観があったため満足しています。ただし「とにかく高収入を追いたい」という価値観の方には、正直向いていないと思います。学校事務の給料のリアルは、そういう職種です。
まとめ|学校事務の給料リアルは「数字だけで判断しない」が正解
学校事務の給料のリアルを、現役職員の視点からお伝えしました。最後に要点をまとめます。
- 年収の数字だけ見れば「高くない」 ─ IT・金融・メーカー等から転職するとほぼ確実に下がる
- 給与水準は「どの学校に勤めるか」で大きく変わる ─ 大規模私立と小規模私立で年収に倍近い差が出ることも
- 昇給は年功序列型・予測可能 ─ 大きく稼げないが、下がりにくい安定した構造
- 私学共済・退職金・残業なし・年間休日など「見えない待遇」が充実 ─ 年収の数字だけでは測れない価値がある
- 「安定・ゆとり・長期雇用」を重視する人には向いている ─ 「高収入・成果主義」を重視する人には向いていない可能性がある
学校事務の給料のリアルは、一言で「安い」でも「高い」でもありません。何を豊かさの軸にするかによって、まったく異なる評価になります。転職を検討している方は、年収の数字だけでなく「給料以外の待遇トータル」で判断することを強くおすすめします。


