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電子帳簿保存法のポイント
契約や支払い時の事務業務が大幅に変わる制度が近々始まります。 インボイス制度の導入と電子帳簿保存法の改正、皆さん対応はお済でしょうか。 今回は令和6年1月1日より本格的に開始される電子帳簿保存法改正について記載いたします。 学校法人は関係ないと思われている方もいるかもしれませんが、収益事業を行い法人税を支払っている学校は対象になります。(消費税のみ納めている学校法人は義務化の対象ではありません。) 電子帳簿保存法の改正のポイントは以下の4点です。
- 事前承認制度の廃止
- 適正事務処理要件の廃止
- タイムスタンプ要件の緩和
- 検索要件の緩和
電子帳簿保存法対応②
制度が義務化となり、まったなしの電子帳簿保存法。元SEの視点から電子帳簿保存法改正について解説します。 しっかり調べたつもりでも、何気ないところに落とし穴があるの…
事前承認制度の廃止
改正前は3か月前までに所轄税務署に申請が必要でした。 改正後は会計ソフトやスキャナなど、必要な機材やツールを揃えて基準を満たせば、すぐに電子帳簿を開始できます。
適正事務処理要件の廃止
改正前はスキャナ前の書類改ざんを防ぐため、社内規定の整備や定期検査などの対応が必要で、紙の原本も保存しなければならず、担当者は2名以上必要でした。 改正後は担当者1名でOKです。
タイムスタンプ要件の緩和
改正前は受領者が署名したうえで、3営業日内にタイムスタンプの付与が必要でした。 改正後は署名は不要で、タイムスタンプ付与の期限も2ヶ月以内に緩和れています。 さらに電子データの修正・削除などのログが残るシステムを使う場合はタイムスタンプ付与が不要となり、クラウド上の保存も可能です。
検索要件の緩和
改正前は取引年月日、勘定科目、取引金額やその他の主要項目すべ てを設定できることが必要でした。日付や金額について「範囲指定」検索や、2つ以上の項目を組み合わせて検索できるこ とも要求されていました。 改正後は検索の必須項目が取引の「年月日」「金額」「取引先」の3つに削減され、税務署からの電子データのダウンロード要請に対応できるように対応している場合、範囲指定や項目を組み合わせて設定する機能の確保は不要となりました。
今回の電子帳簿保存法改正で義務化されるのは電子データで収受した契約関係の書類です。 国税関係帳簿や紙で収受した書類は対象外(任意)となりますので注意が必要です。 古くから続く学校法人のような体制の組織は、義務化されている部分のみ対応することが無難です。 対応するにあたり、ファイル名を工夫したりエクセルで一覧を作成して管理する方法がネットで溢れていますがおススメしません。公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の確認(「認証」)を受けたもの、もしくはそれに準ずるシステムの導入を検討しましょう。 今導入している会計ソフトが対応したシステムを出していたらそれが一番良いと思います。 令和6年1月1日より本格始動のため、現時点から計画してシステムの導入、運用フローの変更を行っていきましょう。