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事務職がAIに奪われると言われて3年が経った今、思うこと|元SE視点

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「事務職はAIに奪われる」 そう言われ始めたのはいつ頃だったでしょうか。オックスフォード大学の研究者が「今後10〜20年で消える職業リスト」を発表し、事務職が上位に入っていた——そのニュースが広まってから、もう数年が経ちます。 私はSEとして10年以上、業務システムの開発や自動化に携わってきました。その後、学校事務職員に転職し、今は「AIに奪われると言われている側」で働いています。 AIを作る側と、奪われる側。両方を経験した人間として、正直に思うことを書きます。 結論から言うと——怖がるより、面白がった方が絶対に得です。
事務職ってAIに本当になくなっちゃうんですか?転職考えた方がいいですか?
「なくなる」は少し大げさです。でも「今のままでいい」とも言えません。SE視点で正直にお伝えしますね。

①「事務職がなくなる」論の正体|SE目線で読み解く

そもそも「事務職がAIに奪われる」という議論の出どころは、2013年にオックスフォード大学が発表した論文です。この研究では、データ入力・書類整理・定型処理など「ルーティン性が高く、判断が少ない仕事」ほど自動化されやすいと結論づけました。 確かに、SEとして業務システムを作ってきた私の経験から言っても、この分析は正しいです。

▼ 自動化されやすい仕事 vs されにくい仕事

自動化されやすい自動化されにくい
決まった形式へのデータ入力イレギュラーへの対応・判断
定型フォーマットの書類作成人間関係の調整・交渉
ファイルの仕分け・整理文脈を読んだコミュニケーション
集計・転記作業組織の空気を読んだ意思決定
定型メールの送信クレーム対応・感情のケア
スケジュール調整(単純なもの)複雑な利害関係の調整
💡 SE出身者のひとこと
システムを作る側の人間として正直に言うと、「完全に自動化できる事務作業」は確かに存在します。でも同時に「自動化しようとしたら想定外のケースが多すぎて断念した」という経験も山ほどあります。現実の仕事はシステムの想定通りには動かないんです。
じゃあ実際に、ここ数年で事務の仕事は変わりましたか?
変わりました。ただ「なくなった」のではなく「変わった」という感覚の方が正確です。次のセクションで詳しく話しますね。

②実際に何が変わったか|現場のリアル

「AIに奪われる」と言われてから数年、実際に私の職場で起きた変化をお伝えします。 AI・自動化のイメージ(事務職 AI 将来性)

📷 Photo by Unsplash(商用利用可・無料)

🤖 AIや自動化に置き換わったこと

  • 定型メールの文章作成(AIが下書き)
  • 会議の議事録作成(文字起こしAI)
  • Excelへの定型データ転記(RPA)
  • 書類のスキャン・PDF化・仕分け
  • 問い合わせへの一次対応(チャットボット)

👤 人間がやり続けていること

  • AIの出力内容の確認・修正・判断
  • イレギュラーケースへの対応
  • 関係者との調整・根回し
  • 「なぜこのルールなのか」の解釈
  • 新しい業務フローの設計・提案
「AIの出力を確認する」仕事が増えたんですね。それって楽になったんですか?
正直、楽になった部分と、新たに求められるスキルが増えた部分の両方があります。メール1通を書く時間は確かに短くなりました。でも「AIが書いた文章が本当に正しいか判断する責任」は人間に残ります。楽になった分、判断の質が問われるようになった、という感じです。

③AIが「実は苦手なこと」をSE視点で解説する

AIの話になると「何でもできる」という印象を持つ方が多いのですが、システム開発の経験から言うと、AIには明確な苦手分野があります。

▼ 現時点でのAIの得意・苦手(5段階評価)

特に事務職において、AIがどれだけ発達しても人間が必要とされ続ける理由が3つあります。 **理由①「責任」はシステムに持たせられない** 公文書への捺印、稟議書への承認、法令に基づく判断——これらは「誰かが責任を持つ」ことが前提です。AIはアウトプットを出せますが、その結果に対して法的・社会的な責任を負うことはできません。 **理由②「例外処理」は無限に存在する** SEとして業務システムを作るたびに痛感したのが、「想定外のケース」の多さです。どれだけ精巧なシステムを作っても、現実の人間は必ずシステムの想定を超えてきます。この例外処理を担うのは、これからも人間の仕事です。 **理由③「信頼」は人間同士にしか生まれない** 保護者からのクレーム対応、職員間のトラブル調整、採用面談——こうした場面で求められるのは「この人に話を聞いてもらえた」という感覚です。AIがいくら上手な返答を生成しても、信頼関係は人間同士の間にしか生まれません
💡 SE出身者のひとこと
システム開発の現場では「人間の仕事をシステムに置き換える」プロジェクトを何度も経験しました。そのたびに感じたのは、「置き換えられたのは作業であって、仕事ではなかった」ということです。作業が減った分、人間はより高度な判断や調整に時間を使えるようになる——それが自動化の本質だと思っています。
「作業が置き換えられるのであって、仕事がなくなるわけではない」という考え方、少し楽になりました。
そうです。ただ正直に言うと、「作業しかしていない事務職員」は厳しくなっていくのも事実です。次のセクションで、これからどうすればいいかをお伝えします。

④AI時代に事務職員が今やるべきこと3選

「AIに使われる側」ではなく「AIを使う側」になるために、今日からできることを3つに絞ってお伝えします。 スキルアップのイメージ(事務職 AI 対策 これから)

📷 Photo by Unsplash(商用利用可・無料)

**やるべきこと① AIツールを実際に触ってみる** 「なんとなく怖い」「難しそう」と敬遠している間に、使いこなせる人との差が広がります。ChatGPTやMicrosoft Copilotは無料で試せます。まずメール1本書かせてみるだけでいい。触ったことがある人とない人では、話の解像度がまったく違います。 **やるべきこと② 「判断・調整・提案」の仕事を増やす** AIが得意な「作業」を任せ、人間にしかできない「判断・調整・提案」の仕事に意識的に時間を使うようにしましょう。日常業務の中で「これはルーティンか、判断が必要な仕事か」を仕分けするだけでも意識が変わります。 **やるべきこと③ 業務全体を「設計する」視点を持つ** AIやRPAを使って業務を効率化するには、「この仕事はどんな手順で動いているか」を言語化できる力が必要です。これはまさにSEが日常的にやっていることです。事務職員でも「業務フローを整理する」習慣を持つだけで、AIの活用幅が大きく広がります。
「AIを使う側になる」って言うのは簡単ですが、実際にはどこから始めればいいですか?
一番のおすすめは「今日の仕事でAIに一つ手伝ってもらう」ことです。メールの返信文を書かせる、議事録を要約させる、何でもいい。完璧に使いこなそうとしなくていい。「使った回数」が自信に変わっていきます。

まとめ|怖がるより、面白がった方が絶対に得

「事務職はAIに奪われる」という話を改めて整理すると、こうなります。
  • 「作業」は確かに自動化が進んでいる ─ 定型入力・転記・集計・文章生成は今後さらに加速する
  • 「仕事」はなくならない ─ 判断・調整・責任・信頼構築は人間にしかできない
  • 「作業だけしている人」は厳しくなる ─ これが「なくなる」論の本質
  • AIを使う側に回れば怖くない ─ 触ったことがある人とない人では、5年後に大きな差がつく
  • SE経験は今こそ活きる ─ 「業務を設計する視点」はAI時代の事務職員の最大の武器
AIが登場するたびに「仕事がなくなる」と騒がれる歴史は、産業革命の時代から繰り返されてきました。そのたびに人間の仕事は「なくなった」のではなく「変わった」のです。 変化を怖がるより、一緒に面白がりましょう。その方が絶対に得です。
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